OS-FS-200S-FI取り付け及びフライト・インプレッション

この度,新たに小川精機株式会社から発売されたFS-200S-FIをサンシャインプロダクトZEQUE(OXAI製)に搭載し,
テスト飛行を行いましたので,その搭載方法からフライト・インプレッションまでをご紹介します。
マニアの皆様に少しでも参考になれば幸いです。

※以下はあくまでも独断的手法によるデータであり,全ての商品に一致するものではありません。


使用製品の例

機体: ZEQUE(OXAI製)
エンジン: OS-FS-200S-FI
マフラー&ヘッダー: ハットリ(#824&#828)
フローティングマウント: サンシャインプロダクト製試作品(3点固定式)
フロントリング: ニシオカ製・アジャスト付きフロントリング取付けセット

燃料: コスモ・ブラックスペシャル・パワー(ニトロ20%,オイル18%)
プロペラ: APC-16.5×13W&17×13
プロポ: 双葉14MZAP




  

エンジンのフロント側の押さえは,ニシオカ製・アジャスト付きフロントリングを使用してみました。
このパーツはリングの締め付け具合も微調整できるので,便利です。取り付けの際,リング溝を境に前後面の直径が
1ミリほど異なるので,注意して下さい。直径の大きい方を後ろ側にしました。
Oリングはハード(赤)と,ソフト(白)の2種類が付属していますが,今回はソフトを使用してみました。
取り付けビス類を含む重量: 24g

※YSスーパーマウント(山田産業株式会社製)のフロントリングでも好結果が得られています。



  

フローティングマウントは,S2マウント(試作品)を使用してみました。
カーボンプレートにフローティングゴムの3点支持方式です。



  

フロントリング取り付け用の4ミリビスを固定する部分の胴枠F1面内側に,3ミリ厚航空ベニヤを追加補強しました。
固定ビスの穴あけは,エンジンを載せて現物合わせによりセンター出しをしました。
フロントリングの前後は,Oリングで押さえる構造になっていますので,ナイロンナットの締め付けは適度に行います。
リング締め付けの微調整は,サイドのエアーインテーク穴からドライバーを差し込んで回すことができます。



  

後方のフローティングマウントの4ミリキャップスクリュー用穴をエンジンマウントに開けて,マウント裏側に
爪付きナットを取付けますが,この時もエンジンを載せて現物合わせで位置決めします。
※画像のフローティングマウントは,試作品です。




  

ハットリのOS200用ヘッダーを取付けます。
右画像のように,ステンレスバンドをヘッダーに当てながらプライヤーでうまく曲げていきます。



  

付属の銅ガスケットをエンジン排気口に挿入しておき,ヘッダーを仮付けます。
この時,ナット側にテフロンテープ等を巻く必要はありません。テフロンテープは熱により収縮する為,ナットが緩む
原因となります。次にエンジンとヘッダー間をステンレスプレートで連結しますが,この時エンジン・ヘッドの面に
ピッタリと押さえられるように曲げ加工してください。そして,バンドの位置はできるだけヘッダーの外側で押さえるように
画像のような角度になると良いでしょう。ヘッダーの内側ですと,ステンレスプレートに掛かるストレスが大きいようです。
フライト後は,矢印の部分の点検を行ってください。この部分には大きな荷重が掛かっています。
もしクラックを発見した場合は,新品のプレートに交換してください。
最後にヘッダーのナットを締め付けることをお忘れなく・・・。



  

搭載完成後のエンジン周囲と,EC-3(アンプ)の搭載状況。
アンプの配線はマフラーやヘッダーに接触しないように中間を固定してください。但し,エンジンは振動していますから
あまり突っ張り過ぎないように,ある程度のたわみを持たせることも必要です。



  

ニシオカ製ワンタッチマフラー取り付け位置が丁度固定脚上部になるので,ステンレスプレートを加工し,延長することにしました。
EC-3からの配線は結束バンドにより途中で固定しました(右画像)。



  

ハットリ純正品によるマフラー固定方法(鈴木貢司 機)。



  

このエンジンは加圧式により燃料タンクは相当膨らみます。ZEQUEの場合,燃料タンク下の台座はバルサ材になっていますが,
2〜3ミリ厚航空ベニヤを台座に貼り合わせ,追加補強されることをお勧めします(燃料タンクK&S 600cc及びスポンジおもり使用)。
また,固定する為のマジックテープは伸縮するゴムバンド付きのものが非常に良いでしょう。
受信機およびバッテリーの搭載は,下側に振動吸収スポンジを貼り,各本体に滑り止めシートを巻き付けて対応しました。



   

エンジン搭載後のセットアップは,それぞれ取扱説明書に従って調整してください。
ニードル調整用のボリュームは送信機(双葉T14MZAP)の7ch目を使用します。
7ch目のATV(動作量)は左右とも130%に設定して下さい。そうすることにより、ボリュームを最大に回した時、アンプ側の表示が
±100%まで動作するようになります。

ボリュームは右に回すとマイナス(薄くなる)で,左に回すとプラス(濃くなる)になります。
また,アンプ側のTMDはATLで行うと通常機械式のメインニードル調整と同じ感覚になります。調整後はボリュームをプッシュして
収納しておくと運搬時に誤ってボリュームを回してしまうことが無く,良いでしょう。
アイドリングの調整(燃料噴射量)はアンプ側のTRLで行います。



  


初飛行前に燃料給油するS2PRO鈴木とZEQUE(OXAI製) 機体総重量:4,606g。

<実装結果>
初飛行はTmC,TRL共に0%で,プロペラはAPC16.5×13Wで行いました。
最初はベリーパン(アンダーカウリング)を付けずに地上にて慣らし運転を1タンク行うと良いでしょう。
この辺は通常エンジンと変わりない段取りで行います。最初の慣らし運転は時にはエンジンの寿命をも決めてしまうほど
重要ですから,慎重に行ってください。この時エンジンの振れ具合や,異常音が無いかチェックします。

受信機の電源を入れることにより自動的にチョーク分の燃料がエンジンに送り込まれますが,最初は手で軽くプロペラを
3〜4回程度クランクし,燃料タンクに圧力を溜めると始動性が良くなります。
その日最初の始動時や,気温の低い日にこの方法は有効のようです。※安全の為,手袋を着用ください。
次にノンノッキング・プラグヒーターとスターター(圧縮が高い為,強力なものが必要)を使用して始動します。

慣らし運転終了後,いよいよベリーパンを取付けて初飛行です。
地上での回転数は16.5×13Wで8,400〜8,500rpmを示していました。甘めの感じですが,アイドリングからフルスロットルまでの
レスポンスに問題が無い様なので,このまま離陸させます。
離陸から最初のPターンまでは排気が多く見えますが,排気温度が高い為,その後は徐々に薄れて見えるのがこのエンジンの特徴です。
しばらく水平飛行を行い,エンジン音や排気の感じを観察します。全体に非常に高トルク感があり,スロットル80%位で強力に
上昇していきます。フルスロットルにすると更に回転数が上がりながら加速するように上昇し続けます。
流石に排気量の大きさを,ここで実感しました。

この状態で3〜4フライトさせ,徐々にエンジンも馴染んできたので,プロペラを17×13に変更して飛行させることにしました。
回転数は8,000〜8,100rpmを示していました。ここでの調整も全て0%のまま行っています。
上空では一段音が下がり,静かに飛行しています。まだこの時点では甘めの状態なので,一旦着陸させ次のフライトは地上にて
ボリュームとアンプの調整を行いました。調整結果は画像のようにTmC:-32%, TRL:-10%で飛行させます。
17×13は16.5×13Wと比較して負荷が大きいのでスロットルのレスポンスは鈍くなりますが,ブレーキ効果は絶大に発揮します。
スロットル操作に慣れると,このペラも低音で感じ良く飛行できそうです。そしてパワーも充分あります。
スロットルの反応がクイック好みの方には16.5×13Wが良いでしょう。

全体にトルク感が大きく,特に横風でも機体が流されることが少なく,カチッと飛行するような印象でした。
排気の煙が目立たないのが,演技を行う上でラインが綺麗に見えて有利に感じました。

※これらの飛行結果は,フローティング・マウントの構造や取り付け方式,使用燃料,プロペラの微妙なバランスや気象条件により
  それぞれ異なってきますので,あくまでも参考までとして見て頂ければ幸いです。
  振動は大排気量の単気筒の為少なくはありませんので,飛行後の各部のネジの緩みを点検してください。
  ほとんど外さない部分はネジロック等を塗布し,固定してください。